で、肝腎の観光旅行のほうだが、本当にありとあらゆる所をまわったのだが、まったく印象に残っていない。というか、ほとんど覚えてもいない。
根室の駅前旅館でタラフク食した花咲ガニが旨かったこと。札幌で初めて食べた味噌バターラーメンに、世の中にはこんなに旨いラーメンが存在するのかと感動したこと。そして函館の知人宅の朝食に山盛り出たイカソーメンの美味だったこと。情けない話だが、これぐらいである。
あとは、大沼で従兄とボートを漕いでいたときに、遥か彼方の湖岸の森のなかを走る蒸機の煙に気がつき、あれはD52だろうか、こんなところでのんびりボートなんか漕いでいたくないな、と観光優先の従兄に不満を感じたことぐらいか。
それにひきかえ、ひと夜をともにしたC55夜行、あいにくの天候が斜陽の炭鉱に似つかわしく思えた雄別、C62こそ出区して不在だったが、沢山のナメクジやC57、そしてB20まで見ることのできた小樽築港の印象は鮮明である。高校時代は軽便鉄道にハマり、ほかの友人たちと違ってついに北海道撮影旅行に出かけることのなかったわたしにとって、旅行途中に見かけた数多の蒸機とともに、かけがえのない北海道の思い出でもあるのだ。
総武本線 平のこと
八高線・川越線 呉線
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