で、着いたらもう駆け足だ。726レの到着は撮っているヒマがないから、とにかく改札から駅の外へ出て、反対側への跨線橋通路を渡って機関区へ。事務所で許可をもらって撮影開始。平機関区は規模が大きく広いから、ほんとうに走りまわった。729レの発車は撮りたいから、いちど跨線橋へ戻ってカメラを構え、また機関区に戻り、やっとのことでラウンドハウス内のC6249とご対面することができた。
ところが、である。これほど苦労してのご対面にもかかわらず、わたしはまったく感動しなかったのだ。そして知った。蒸気機関車は生きていてこそ、蒸気や煙をあげ、罐の熱を感じることができてこそ魅力的なのである、ということを。
「そういうことか」
帰りの電車までの残された僅かな時間、わたしは機関区内を走りまわるD60を追いかけるのに必死になった。