中坊と汽車 平のこと2



常磐線のC62が牽引する特急は67年秋に廃止され、平区のC62は半数が廃車解体。5両は糸崎に移動。なぜか、この49号のみが翌年6月まで平に残されていた

で、着いたらもう駆け足だ。726レの到着は撮っているヒマがないから、とにかく改札から駅の外へ出て、反対側への跨線橋通路を渡って機関区へ。事務所で許可をもらって撮影開始。平機関区は規模が大きく広いから、ほんとうに走りまわった。729レの発車は撮りたいから、いちど跨線橋へ戻ってカメラを構え、また機関区に戻り、やっとのことでラウンドハウス内のC6249とご対面することができた。

 ところが、である。これほど苦労してのご対面にもかかわらず、わたしはまったく感動しなかったのだ。そして知った。蒸気機関車は生きていてこそ、蒸気や煙をあげ、罐の熱を感じることができてこそ魅力的なのである、ということを。
「そういうことか」

 帰りの電車までの残された僅かな時間、わたしは機関区内を走りまわるD60を追いかけるのに必死になった。

磐越東線では「ヨンサン・トオ」まで、DC化された一部の列車を除き、すべての列車を蒸機が牽引していた。重連で出区するD60。1968年2月

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