浜中町営軌道 3-4

3月27日 浜中3日目その4

ここでは乳牛が外に出ていた。今回の旅で初めて見る牧場らしい風景である。除雪された小道が線路にぶつかるところには小さなプラットホームがある。牧場の脇を通り過ぎ、雑木林を抜け、列車は雪原の彼方へと消えていく。はるか地平線近くには、茶内の雪印工場のシルエットが見えている

 とても良いところなので、3時半の自走客車の続行も、ここで撮ろうと考えた。昨日は2列車を同じ画面に収めることができなかったが、これだけ眺望があれば続いてくる様子が撮れそうである。風は冷たいが、昨日の寒さに比べればずっとましなので耐えられるだろう。誰も居ない原野で2時間待つのは退屈なので、ラジオをつけて雪に寝ころんで過ごす。
 何か声が聞こえるので見回すと、下の線路を歩いている人が叫んでいる。さっき駅で会った人だ。秩父内から歩いてきたようで、これから戻って、また列車に乗るという。
 1時間ほどたった頃だろうか。小雨がぱらついてきた。風もあるので濡れるとつらい。雨が激しくなるようなら、丘からの視界も悪くなるので、続行を撮るのは難しくなりそうだ。空模様はあまり良くない。どうも雨がやみそうになく、寒さも厳しくなってきたので、あきらめて引き上げることにする。
 茶内の駅まで戻ると、もう1人、鉄道ファンに出会った。これで簡易軌道5日間で2人目である。先ほど線路を歩いていた人は、3時半の列車で東円朱別まで行くという。今回は、撮影効率を考えて西円線だけに絞ったので、東円線の風景や駅の様子などは全く見ていない。地図で見ると平坦な地形のようだが、乗って往復してみる価値はありそうだ。

 ただ、5番で往復すると、茶内に戻るのが午後5時過ぎになる。そうすると時間的に釧路YHには泊まれそうにないし、厚岸YHにぎりぎり行き着けるかどうか。釧路駅では夜は明かせないので、最悪の場合は夜行で狩勝あたりまで往復することを覚悟しないといけない。かなり迷ったが、3日目にして一応満足できる成果もあったし、東円線は改めて挑戦しようというつもりで、彼に別れを告げて厚岸に向かうことにした。駅でYHに電話すると、泊まれるというのでフェリーで奔渡に渡る。今晩はゆっくり眠って、明日はあまり動かずに浜辺を行く列車でものんびり撮ることにしよう。

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