腕木式信号機 その3

腕木式信号機 地方鉄道・専用線

 大手私鉄は早くから色灯式が導入されていたが、一部の支線や中小の電化私鉄では廃止まで自動化されなかった例もある。東武鉄道では佐野線の奥に電化されていない貨物線があったため、1960年代まで腕木式が使われていたし、上田交通の真田・傍陽線、丸子線、銚子電鉄などでも60年代後半や70年代になるまで使用されていた。
 非電化の中小私鉄や専用鉄道でも、客扱いをしているところでは安全確保のため早期に自動化されたと思われるが、夕張鉄道、雄別鉄道、美唄鉄道、大夕張鉄道、小坂鉄道などには70年代まで腕木式信号機が残っていた。
 炭坑の専用鉄道でも、三菱上芦別、貝島炭坑などには腕木信号機があったが、短い専用線の場合は全線が閉塞一区間となっていて信号機が設置されていなかった所も多いようである。日曹炭坑などは、末期には列車本数が減り交換駅がなくなったため、信号システム自体を廃止してしまい、信号機も撤去されていた。

上段=小坂鉄道大館駅(私鉄でこれだけ腕木式信号機が並んでいる所は珍しかった)。下段左から=美唄鉄道常盤台、夕張鉄道若菜駅(鹿ノ谷方の場内信号で背の高い方がホームのある線、低い方が通過線用と思われる、東武鉄道会沢貨物線、銚子電鉄。


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