これはまったくの私見だが、いい街には、ほどよく野良猫が住んでいると思う。雨露をしのげる社寺があり、日向ぼっこに適した塀や草地、あるいは小さな墓地もあり、のんびり歩いていても車に撥ねられるおそれのない路地がある。餌をくれて「庭猫」になることをゆるしてくれるお年寄りがいる。裏町で仲良く遊ぶ子供たちも、野良猫をいじめたりはしない。
鬼子母神じたい、野良猫が多く住みついていることで知られるが、界隈の路地、いや、線路端でも、ゆったりくつろぐ猫の姿を多く見かけた。
「ああ、このあたりは人にも猫にも住みやすい、いい街なんだなあ」と私は思ったものである。
夕方になると鬼子母神前の停留所横の焼き鳥屋には、夕食のおかずや晩酌の肴を求めて焼き鳥やウナギを求める買い物客が集まり、タレの焼ける香ばしい煙が停留所まで流れてきて、「さて、オレもそろそろ撮影はやめて、どこかで一杯やるべいか」などと、ひとりごちたものだ。