ところで、都電といっても荒川線はそのほとんどが専用軌道を走り、風情という点ではやや劣る。路面電車的な姿を見せるのは、いまや飛鳥山近辺のみだ。かつて「鉄道ファン」の1971年11月号に「こっそり ひっそり めだたずに」シリーズのひとつとして、松本謙一・木村洋一の両氏が鬼子母神前や早稲田の学生下宿街をかすめて走る都電の姿を発表されたが(「王電 裏町のとでん」)、早稲田のあたりは再開発で広い道路と高層マンション街に変貌し、往時の面影はまったく残っていない。
次へ