明治の残照 4

列車通過

そんな感傷を粉々に砕くかのように、峠を上ってきた列車がすぐ脇を通過していく。

 協調運転をしていない列車の場合、電車のモーターは回っていないので、せいぜいMGとクーラーの静かな音が聞こえるくらいだが、 最後尾のEF63重連が通過するときには「ブーン」という特有の音が一帯を支配し、他の音は耳に入らなくなる。 100トンを超す巨体が2両続けて通るのだから、なんだか地響きのようなものも感じられる。
 明治のデザインの重厚さと、それとはは異なる昭和の技術の重厚さが邂逅する瞬間である。

貨物列車
EF63

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