この峠はな
とストーブの脇で
線路工夫は語り出す
最初はもっと左の
平らなところを進んで
トンネルになっていたんだよ
それがな あれだ
手抜き工事でよ
落盤で 埋まっちゃったんだ
それで こっちを削って
ぐるっと回っていくようになったのよ
誰も来ない線路端で
知られていない物語が静かに語られる
撮ったときには
思ってもいなかった
この気持ちよい曲線を描いた勾配に
再び会うために
もう一度はるばる
1000キロもの旅を
することになるとは
そして こんな苦い真実の断片を
聞かされることになろうとは