線路のある風景 1

夜明け前

朝陽は東の稜線の下にあり
薄明の空は濃い紫を流したよう。

夜明け前の冷気が
雪原にたちのぼる蒸気を霧に変える。

半時も経てば
雲は薔薇色に染まり
空も地上もとどまることなく
色を変えていくだろう。
人の行きかう気配や
一日の始まる物音とともに
鉄道の動き出す息遣いが
あらゆる経路を伝わり始めるだろう。


すべてが動き出す前の静寂。

あらゆるものが彩りを持ち始める以前の
墨絵のような世界。

私だけが見つめているなかで
ゆっくりと流れていく時間。


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