children in the sunlight 6

炭坑と簡易軌道を撮りに行った北海道旅行の最後に、上磯の日本セメントと五稜郭の庫と、函館市電を見に行った。このときは街中を走る市電には関心がなく、最初から除雪車を探して車庫に向かったようだ。
梁川車庫の裏手、急カーブの引込線に突っ込んであった3両の除雪車は、ブリルの台車に木造車体、デザインのそこかしこに「明治の香り」が漂っている。 狭い場所で、どうやって撮ろうかと歩き回り、しばらく時間をつぶした頃に、子どもが3人現れた。何に使うのか、一升瓶に砂を詰めたりしている。別の方向に停めてある電車に関心があるように装って、子どもがカメラを意識しないように行動し、横目で彼らの動きを観察しながらチャンスを待った。彼らが現れてから立ち去るまで10分ほどだったろうか。2カットしか写せなかったが、この場所で撮った写真のうち、いちばん気に入っている2枚だ。

梁川車庫1

「撮りたい画」が見つかる瞬間はたくさんあるということに気づいてから、撮影に使う時間がずいぶん変わったように思う。それまでは、列車が来る前に線路脇でポイントを定めて待つだけで、それ以外の時間は駅の待合室などで時間をつぶしていた。 尾小屋で自分の納得のいく写真が撮れてから後は、そういう無為に過ごす時間が減った。
 駅や停車場で、うろうろと何時間も歩き回って、職員がさまざまな作業をしているところを追いかける。ちょっと気になる感じの線路脇では、通行人が現れるまで待ってみる。 子どもが居れば、ファインダーを覗いて画になる瞬間が到来するまで追い続ける。



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