橋 その 7

森林鉄道の橋 その他(上松のΩ)

上松のΩループとして有名な十王沢の橋梁である。モデラーにとっては、"Dachs Story"で「山線のサブレイアウト」として紹介された記事(鉄道模型趣味73年7月 通巻301号)が印象深いかもしれない。
 右の写真(1960年夏)は、過去に「木曽谷の森林鉄道」や「鉄道模型趣味」に掲載された写真(58年秋)とは微妙に異なっている。沢の右岸に護岸工事がされているのだ。さらに少しだけ古い58年夏の写真が、「夢遊生活の日々」(梅村正明氏のサイト)で公開されているが、それを見ると使われていない橋台がさらに2つあり、高さが異なっている。どうやら、それ以前にあった橋を一度架け替えているらしい。

 Ωのある引込線は、貯木場ヤード奥の神社のある付近から急勾配で降りて十王沢を急カーブで渡り、家の間を抜け、さらに下って沢を再度渡り返し、その先で複数の製材所に入る。高度を下げるためにΩにする必要があり、その途中に沢があったので橋がかかっているわけである(右図)。

 十王沢は、Ωの少し上流側で本線の下をくぐる。ヤードから停車場へ向かう途中は、右下画像のように複線になっている。右(山側)に道路橋があるのに、左の線路も板を敷き詰め欄干を設けて人が歩けるようにしてあり、巾の広い橋が並んでいるように見える。画面では見えていないが、さらに右側にもう一本、古い時代のプレートガーダーがあり、留置線として使われていた。全部で4本の橋がかかっていて、鉄道橋の間に道路橋が挟まれているのである。
右上=1960年夏の「上松のΩ」(撮影・青山東男)。左端の建物が貯木場のレベル。右中=建物や線路配置は時代によって違うので、概略を示した。右下=十王沢を渡る本線の橋梁。正面左が上松修理工場。少し先の右手にホームがあり、さらに進むと鬼淵橋梁に至る(撮影・下島啓亨)。

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