中坊と汽車 北海道の旅の途中で2

築港のC57
C5738は小樽築港から岩見沢に転属し、6年後の国鉄蒸気の終焉まで室蘭本線で活躍した

最後のC62の活躍が注目され、後に「小樽築港といえばC62」というイメージができていったが、「よんさんとう」での小樽~滝川間電化以前は、小樽築港機関区は道東・道北へ向かう長距離列車の牽引機C57の「ねぐら」でもあった。特に、66年までは狩勝越えを含む小樽~釧路間およそ400kmを機関車の付け替えなしで牽引する運用があり、そのため重油併燃装置を設け、蒸気ダメの後ろに重油タンクを持つカマが10数両あった。いわゆる「ロングラン仕様」である。

この訪問時でも築港には10両ほどが残っていたはずである。というのは、最初に投入されたED76が9両だったからだ。68年春と69年春の時刻表を比べてみると、札幌から北へ向かう客車列車は一日24本が1本減っただけ。実は、滝川電化で大きく減っているのはディーゼルカーの各停(7本)と急行(2本)で、これらが12本の電車に置き換えられている。23本(往復ではその倍)の客車列車を牽引するにはEL・DLが足りず、築港のC57に働いてもらう必要があって、この年には小樽から滝川まで、真新しい架線の下をまだ走っていたのだ。

C57144
C57138
時刻表
上) 始発から8時までの間に8本もの客車列車が札幌以北へ向かう。69年春の時刻表
左上) 築港の転車台に乗る室蘭区のC57144。岩見沢に移り国鉄蒸機全廃まで生き延びた
左下) 重油タンクを装備した「ロングラン仕様」のC57138

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