近鉄内部・八王子線 その1

近鉄内部・八王子線 1971年2月

近鉄内部・八王子線は、三岐鉄道北勢線とともに、いま現在も残っている貴重な軽便電車である。しかし、車輛がリニューアルされ、自連化されたいまとなっては、私としてはいまひとつ食指が動かないというのも、事実だ。
 私が訪れた1970年代前半は、モ211形、モ221形といった朝顔型連結器をつけた1950年代製の古いこげ茶色の電車が活躍しており、1974年7月25日の集中豪雨による天白川の水害によって廃止の憂き目を見た八王子線の西日野―伊勢八王子間1.6㌔も健在だった。

モ231+サ121の編成。日中は2両で走ることが多かった。八王子線の日永~西日野間。

近鉄四日市―内部間が5.7㌔、日永―伊勢八王子間が3.0㌔というコンパクトな路線だったが、その短いなかに川あり橋あり住宅地あり、田畑ももちろんあって、さまざまな鉄道情景を見せてくれる、魅力的な軽便電車だったのである。


右) 赤堀~日永間の鹿毛川鉄橋を渡るモニ211+サ156。

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