自分は電車が好きか?と考えてみると、少々心もとない。小学生から中学生の頃に興味を持ったのは、どちらかというと郵便・荷物車とか配給車とか、ふつうの車体を持つ電車ではなかったし、国鉄や大手私鉄の電車は全然撮っていない。その後、10代後半の時期に自分の撮った写真を見返してみると、興味の対象は電車そのものではなくて、旧い電車の走っている光景の方だった、ということが分かる。
電車の好きな鉄道ファンの多くにとっては、車輌の形態差や経歴が大事なのかもしれないが、私はそういうことにあまり関心が無い。旧いデザインの電車が美しい光景の中を走っている姿が見たいだけなのである。
なので、電車の形式や番号が写っている写真がほとんどない。細部を撮ったときも、単にフォルムに惹かれたからシャッターを押したのであって、資料的な観点からすると、「もっと下が見えていれば」とか「何故そこで切れてるのか」というようなカットが多数あるのではないかと思う。車輌についての情報は期待せず、ある種シーナリーガイドのようなものと思ってご覧いただければ幸いである。