左)西円朱別から3番の自走客車が戻ってくるころ陽が差しはじめた (右)その10数分後、やわらかい陽ざしの中を東円線4番の列車が茶内へ向かう
午後のミルクタンクを昨日目をつけた小高い丘から撮るつもりで、秩父内方面へ向かう。どんなふうに見えるか分からないが、昨日の列車から見た限りでは、線路を見下ろせる丘は西円線には他にないようだったので、とにかく行ってみることにする。
国道から少し進むと、もう人家はほとんどない。さきほどの自走客車が戻ってくる頃になると、霧が晴れただけでなく、うっすらと陽が差し始めた。ちょっとした天気の変化で、全く別の土地であるかのように印象が変わる。沿線は、牧場の周囲は開けているものの、それ以外は結構ぎっしりと木が生えている。
気温も上がってきているようで、これなら原野の中で待つのもつらくない。目ざす丘は、名前もなさそうな小さな停車場のホームを過ぎた少し先にあった。雪に覆われた丘の上にあがると、秩父内のほうから線路が気持ちよくカーブしている。眼下の牧場の脇を通り、茶内方面は彼方の林に消えていく様子が見渡せる。平坦な土地でも、牧場と樹林帯が交互にあることがよくわかる。根釧台地の風情が一望できる良い場所だ。
待つことしばし。1時半過ぎに、DLがミルクタンクを1両だけ牽いて下ってきた。広大な空の下、雪の中の細い線路を、牛乳を積んだ小さな列車がゆっくりと走っていく姿。やっと思う通りの写真を撮ることができた。朝の奥行臼での失望も、これで帳消しといえそうなくらいの成果である。
少し陽が翳った中を、ミルクタンクを1両牽いた機関車がカーブを曲がってやってきた。背後の樹林帯と雪原のコントラストが美しい