浜中町営軌道 1

3月25日 浜中その1

標茶の翌日は、半日かけてタンチョウヅルを見に行った。

 なぜそういうことをしたのか、理由は覚えていないのだが、ノートを見ると最初から計画していたようなので、ちょっと鉄道から離れようということだったのだろう。
 そのころ、ようやく人工孵化に成功した時代だったので、まもなく絶滅してしまう可能性があると考えたのかもしれない。

餌をくれる人間になれているのか、警戒心がないようで時おり近くによってくる

釧路のユースホステルからバスに乗って「鶴公園」へ。「公園」とはいうものの、雪の中で羽を切ったタンチョウヅルを飼育しているだけで、他に見るものはない。管理人が1人、訪れた客は私以外に2・3人居たかどうか。
 40分くらいの間に、持っていたネガカラーで20枚撮影した。戻って根室行きの列車に乗ったのが昼過ぎ。これだけ時間があるなら、鶴居村営軌道の跡がどうなっているか確かめるとか、春採に太平洋炭坑をちょっと偵察に行くとか、できそうなものだが…。
 おまけに、このネガは「たいした出来でない」と思ったのか、別の容器に乾燥剤も入れずに放置してあり、スキャンしてみるとカビだらけ。フィルムはアグファであまり退色していないのに。ツルに全部使わず、バスや建物、釧路の駅や街の風情などを撮影しておけばもう少し意味のある記録になったはずだが、そういうことを考えた気配はない。

 鶴公園までのバス代が往復300円。この日その他に使ったのは、弁当100円、コーラ50円、コーヒー牛乳28円、肉まん30円の合計208円である。どうみても、かけた費用と時間に見合う行動でない。

 午後になってから、浜中町営軌道の起点である茶内に向かう。ここは事前に問い合わせをして、列車の時刻も教えてもらっていたので、ちゃんと動いているはずだ。

浜中町に問い合わせの往復ハガキを送ったところ、軌道事務所から届いた返事。

鶴公園は釧路から北西に約20km。浜中町営軌道の出ている茶内までは東に約70km。 厚岸から厚床までの間は、ほぼ10kmおきに駅が4つ。霧多布の近くには畑正憲氏の「ムツゴロウ王国」があった。 当時の中学生用地図帳より

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