20線で出発を待つ列車。雪は問寒別よりずっと深い
20線では、機回し後にも少し停まっていたので、発車まで10分か15分ほどはかかったと思う。戻る列車は、3箇所の停車場で牛乳缶を貨車に積み込んだ。
牛乳の缶は低いホーム上に置いてあるだけなので、運転手と「メガネのおじさん」が2人で貨車に積み込んでいく。
除雪されている道路は少なく、道産馬の姿を数度見かけたので、停車場まではソリで運んでくるらしい。牛乳缶以外には、貨物はない。
ここはちょうど北緯45度線のあたりで、米作はもちろんできないし、畑からの産物も多くはないのだろう。ところどころにカラマツの林があり、
牧場の施設も、ときおり見えるだけ。いちめん雪に覆われていたのでハッキリとはわからなかったが、地形からして沿線はほとんどが牧草地か原野のようだった。
途中で、大きな荷物を持った女性も、乗り込んできた。着ているものや立ち振る舞いからみて、いま地元に住んでいる人ではなくて、 生まれ故郷への里帰りで、これから旭川とか札幌のような都会に戻るところのようである。しかし、やはり私と「メガネのおじさん」を含めて 車内に居るのは5人ほどだった。
問寒別市街駅にある雪印の工場に貨車を横付けし、牛乳缶を降ろす。朝は雪に覆われていた線路が、午後にはかなり見えるようになっていた。
右上)この停車場には牛乳缶を運んできた人がいて4人で積み込んだ
右下)道産馬がソリを引いている姿が車窓から何度か見えた
市街駅に戻ると、貨車の牛乳缶をおろして雪印乳業の工場に運び込む。機関車に給油をすると、午後の列車まで仕事はない。
運転手の人が、もう一つの機関庫の扉を開けて、ディーゼルロータリーを見せてくれた。
軌道事務所の建物は、なんと町役場の出張所と結婚相談所とが同居している。
そこで聞いた話では、3月31日付で廃止となるが、6月まで運行は続けるということだった。道路の除雪が十分にできないから
トラック輸送が難しいという事情はあるものの、この日の客と貨物の量から考えると採算が取れている気配はなく、
積雪時の牛乳輸送の足さえ確保できれば、とうに廃止されていても無理はないと思えた。