昔、「鉄道模型趣味」誌に紹介されていた実物記事には、たいてい秀逸な配線図イラストが添えられていた。写真だけでは伝わらない駅のたたずまいが手に取るように分かり、眺めているうちに、その場に居るような気持ちにさせられたものである。
　小さな鉄道の小さな駅の配線は、国鉄の幹線の駅などとはまったく違う、箱庭的なおもしろさがあった。列車を待ちながらしばしの時間を過ごすうちに、ホームの高さや長さ、使われなくなった倉庫、取り外された引込み線の跡などに目がとまり、その土地柄や、鉄道の歴史を物語る風景との対話が生まれてくる。

上のイラストは、1972年初めにかねた一郎が銚子電鉄を訪問した際に描いたもの。