雪国抄

「國境の山を北から登つて、長いトンネルを通り抜けてみると、冬の午後の薄光りはその地中の闇に吸ひ取られてしまつたかのやうに、また古ぼけた汽車は明るい殻をトンネルに脱ぎ落して来たかのやうに、もう峰と峰との重なりの間から暮色の立ちはじめる山峡を下つて行くのだつた。こちら側にはまだ雪がなかつた。」


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