富士を愛でる 3

岳南の電車は、もとの京王井の頭線の3000系を切って繋げた妙なものに置き換えられたが、これはこれで、それなりに面白く感じられた。古い電機もED501(もともとは1928年製の上田温泉電軌デロ301)は健在で、ちょっと嬉しくなる。日本製紙(もとの大昭和製紙)の貨物輸送は、量は減ったもののいまも順調とみえ、新しい専用電気機関車が登場している。しかし、ローカル鉄道の常で、ここも旅客数は減少しており、地元の子供たちが作った「岳南を利用しよう」というポスターが、あちこちの駅に飾られていたりもする。
 オレンジに塗り替えられた5000系の休車は岳南富士岡駅の構内に留められていたが、雨ざらしの傷んだ姿には、ちょっと胸が痛んだ。ちなみに2008年には解体されてしまったらしい。
とまれ、この日も上天気で、ライカ片手に電車を待つあいだ、じゅうぶんに富士の美しい姿を楽しむことができたわたしは、「ああ、いいな。せいせいするな」と呟きつつ、この小さな鉄道が富士とともに永く続いていくことを願うのだった。



上)井の頭線の3000系を改造した電車
下)比奈にて 左は元松本電鉄のED402 右はED501


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