線路のある風景 8

花売り

赤銅色に灼けた首を
ちょっとだけ前屈みにして
男が1人 線路脇の事務所へと向かう

お花はいかがですか 



あなたは そうやって
毎日いくつの場所を訪ねているのか
どれだけ売れれば 暮らしていけるかと
尋ねてみたら
きっと彼は笑って答えないのではないか
 

彼の静かで 淡々とした歩きかたが
私にそんなことを思わせる


見るものの心に
小さく波紋を残して去って行く


小さな炭坑の 暑い夏の昼下がり

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