赤銅色に灼けた首を ちょっとだけ前屈みにして 男が1人 線路脇の事務所へと向かう お花はいかがですか あなたは そうやって 毎日いくつの場所を訪ねているのか どれだけ売れれば 暮らしていけるかと 尋ねてみたら きっと彼は笑って答えないのではないか 彼の静かで 淡々とした歩きかたが 私にそんなことを思わせる 見るものの心に 小さく波紋を残して去って行く 小さな炭坑の 暑い夏の昼下がり
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